Archive for the ‘ケア’ Category

(侵襲下における)アルギニン、グルタミンの役割

9月 7, 2012

近年、特殊栄養素を投与することによって、免疫能を強化、調整し侵襲(生体内の恒常性を乱す事象全般)に対する生体反応を改善し、合併症の発症予防、在院日数の短縮、ひいては予後まで改善しようとする栄養療法の概念が確立した。

これを免疫栄養(immuno-nutrition)といい、免疫栄養の各栄養素を免疫栄養素(immunonutrient)と呼んでいる。この栄養素は一般の食事にも含有されているものもあるが、薬理的な投与によって免疫能の修飾が可能であることが示されている。

免疫栄養素としてはアルギニン、グルタミン、オメガ3脂肪酸、核酸、各種抗酸化物質などが含まれ、栄養投与ルートとしての経腸栄養(食事の取れない患者に対し、腸に管を挿入し、栄養を送り込む方法)も免疫栄養の一種として考えられている。

『アミノ酸の機能特性 ライフサイエンスのおける新しい波』 矢ケ崎一三 門脇基二、舛重正一、横越英彦 責任編集 より

 

 

 

 

●グルタミン: グルタミンは生体内にもっとも多く含まれるアミノ酸であり、グルタミン酸とアンモニアから生合成される。生体内ではアミノ基転移酵素の基質として種々の生体機能に関わっている。俗に「免疫力を高める」といわれている。アルギニンとともに輸液の成分に配合され、一部のがんやHIV感染による症状の緩和に利用されている。

 

 

 

 

・化学療法による粘膜の炎症 (口内炎) に経口摂取で有効性が示唆されている。グルタミン摂取によって、骨髄移植後やがん化学療法中の患者における口腔内の痛みの発生率、程度、期間を軽減したという報告があるが、すべての患者で効果があったわけではない。おそらくグルタミン欠乏が見られる患者でより効果が高いと思われる (64) 。

・危篤状態および多発外傷患者における栄養学的および免疫学的状態の改善、感染合併症減少に、経腸栄養投与の有効性が示唆されている (66) 。

・32週未満出生および出生時の体重が1,500 g以下の両方もしくはいずれかの生後3~30日以内の乳児107名 (試験群54名) を対象とした無作為化比較試験において、L-グルタミン82%含有パウダーを徐々に投与量を増やし、最大0.3 g/kg/日、1歳まで摂取させたところ、アトピー性皮膚炎のリスクは減少したが、気管支過敏症や感染症の罹患率には影響しなかったという報告がある (PMID:17984413) 。

・適切に用いれば経口摂取で安全性が示唆されている。40 g/日まで安全という報告がある (64) 。
・静注で安全性が示唆されている。経管栄養で570 mg/kg/日まで安全という報告がある (64) 。

・妊娠中・授乳中の安全性については充分なデータがないので、使用を避けること (64) 。

・経口摂取、静注の副作用は知られていない (64) 。しかし、グルタミンはグルタミン酸とアンモニアに代謝されることから、神経および精神疾患の患者においては、いずれも神経系に作用することが考えられる (64) 。

・双極性障害を持ち、グルタミンを摂取した人において躁症状が報告されている (64) 。

・グルタミンは興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の前駆物質であるため、躁病および軽躁患者の情緒変化を引き起こすことがある (PMID:6486273) 。L-グルタミンを4 g/日、3週間摂取した男性が多動、多弁、誇大妄想などの症状を呈し、摂取の中止により症状が無くなった。また、L-グルタミン2 g/日を摂取していた気分変調性障害の患者が、並外れて外交的および冗舌になり、中止したところ症状が改善した (PMID:6486273) 。

http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail610.html より

 

 

 

 

●アルギニン:アルギニンはもっとも塩基性の高いアミノ酸で、生体内では尿素回路の中間体として生合成される。アルギニンは速やかに分解されるため、特に必要量を合成できない子供では必須アミノ酸になっている。代謝産物である一酸化窒素 (NO) を介して、成長ホルモンの分泌促進、免疫機能の向上、脂肪代謝の促進など、生体内で種々の機能に関与している。

俗に「免疫機能を高める」といわれており、アルギニンを主要成分とした輸液が術後の回復を助け、感染性合併症の発生率低下に利用されている。また、狭心症、末梢血管疾患、間質性膀胱炎の症状改善などに有効性が示唆されている。

 

 

 

 

・サイクロスポリン投与中の腎移植患者において、腎血管拡張、ナトリウム排泄の改善に経口摂取で有効性が示唆されている (66) (PMID:9249782) 。

・術後回復に対して有効性が示唆されている。RNAおよびエイコサペンタエン酸との併用で、手術後や重篤な疾病の患者における回復を早め、免疫反応を改善するのに腸溶錠あるいは経口摂取で有効性が示唆されている。手術前後の食事に加えてRNA、EPA、L-アルギニンを摂取すると、術後感染が減り、傷を治癒し、回復が早まったという知見がある(PMID:1377838) (PMID:7539633) (PMID:7536138) (PMID:11551575) 。

・2-13歳の子供にアルギニンを投与すると、空気感染による感染症発症抑制に有意な効果がみられ、CD3およびCD4の割合が増加した (PMID:9549298) 。
・エイズ患者にアルギニンを2週間投与 (19.6 g/日) したところ、NK活性の上昇傾向がみられた (PMID:12093460) 。
・大腸がん患者の術後にアルギニン強化輸液を経静脈投与したところ、末梢白血球中のCD4+細胞、NK細胞、IL-2R+細胞の割合が上昇した (PMID:12297482) 。

・ラットにアルギニン強化飼料を10日間投与し腹膜炎誘発性敗血症を誘導したところ、アルギニン摂取によって腹腔マクロファージの貪食能が顕著に増加し腹腔細菌数の低下がみられた (PMID:12903885) 。

・適切に用いれば短期間の経口摂取でおそらく安全と思われる (66) 。L-アルギニンは通常安全であると考えられており、数日から3ヶ月摂取までの臨床試験でも、重篤な副作用は報告されていない (PMID:9366309) (PMID:8310409) (PMID:9915448) (PMID:10335768) (PMID:8925582) (PMID:10694193) (PMID:1377838) (PMID:7539633) (PMID:7536138)(PMID:10716474) (PMID:10212170) (PMID:11755284) (PMID:9264427) (PMID:11551573) (PMID:11408995) (PMID:8609344) (PMID:10759111) (PMID:15928719) 。経口摂取による長期使用時の安全性に関しては十分なデータが得られていない (PMID:9366309) (PMID:16391217) 。
・適切に用いれば、静注でおそらく安全と思われる。非経口のL-アルギニンはFDA認可の医療用医薬品である (66) 。
・早産児の経口摂取において安全性が示唆されている (PMID:12006956) 。
・妊娠中は適切な短期間の経口摂取であれば安全性が示唆されている。妊娠28-36週の妊婦がL-体12g/日を2日間、安全に摂取できたという報告がある (PMID:14678093) 。

http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail601.html より

ウォームアップすることに関連したメリット

8月 29, 2012

・体温と組織温度の上昇
・血管床の抵抗が減少することで、活動筋の血流量が増加
・心拍数の上昇と、それにともなう運動適応のための心肺循環系の準備
・代謝率の上昇

・ボーア効果の上昇、つまりヘモグロビンの酸素放出の促進
・神経インパルスの伝達速度の上昇による身体動作の促進
・相反性神経支配の効率の上昇(拮抗筋と収縮と弛緩がより速く効率的に

・身体作業能力の上昇
・結合組織と筋肉の粘性(あるいは抵抗)の低下
・筋肉の緊張の減少

・結合組織と筋肉の伸展性の向上
・心理状態の向上

(Bishop, 2003;  Goats, 1994; Hemmings et al. 2000; Karvonen, 1992; Whelan et al. 1999; Verkhoshansky and Siff, 1993)

『柔軟性の科学』より

test

3月 18, 2012