Archive for the ‘トレーニング’ Category

良い姿勢とトレーニングと刺激の分散

7月 29, 2015

“良い姿勢を取り続けることは良いことか?

 

 

・通常の座位姿勢と足を組んだ座位姿勢では腹直筋の筋活動には変化が見られないものの、内、外腹斜筋の活動は有意に減少した(2)。

・一般に腹斜筋群は仙町関節の安定化作用があるといわれている。ところが、足を組み、股関節を屈曲、内転することによって、大殿筋や梨状筋、あるいは後仙腸靭帯が伸張位になる。

・立位に比べて、普通の座位では7.8パーセント、足を組んだ座位では21.4パーセント、梨状筋が伸張される。またその張力によって仙腸関節への圧迫力も高まる(3)。

すなわち、足を組んだ座位では仙腸関節をまたぐ筋の伸張による張力が、腹筋群の収縮に代わって、仙腸関節の安定化作用を担っている。

 

 

ヒトは骨盤、腰椎の安定性を得るために異なる方法を巧みにスイッチングしながら、筋の疲労や関節周囲組織への過剰なストレスを避けて座り続けるという戦略をとっている。たとえ「良い姿勢」であっても、ある1つの姿勢をとり続ければ、いずれどこかの組織に無理がかかって破綻してしまう。

長時間にわたって同一の姿勢が続くと、椎間板を構成する髄核や繊維輪から水分が搾り出されてしまうという危険性(クリープ減少)もある。

そういった意味では、他の座位姿勢のパターンは「悪い姿勢」なのではなく、その人が使うことが出来る手持ちの札であると考えたほうが良いのかもしれない。手持ちの札が少ないことこそが、快適な座位での生活を妨げる。

実際に、腰痛症の患者では、良い姿勢の座位から座位を崩した座位へ変換する際も骨盤や脊柱の動きの幅が小さく、姿勢を変化させる能力も低くなっていることが知られている(4)。”

『ヒトの動き百話』 1-17  良い姿勢を取り続けることは良いことか? 建内宏重 より引用

2. Why leg crossing? The influence of common postures on abdominal muscle activity.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8578373

3. Functional aspects of cross-legged sitting with special attention to piriformis muscles and sacroiliac joints.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16260074

4. Differences in sitting postures are associated with nonspecific chronic low back pain disorders when patients are subclassified. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16540876

 

 

●床ずれにならないように寝返りを打って負担を軽減させるように、

日常生活において、ある特定の姿勢で、特定の組織に負担がかかり続けないように体勢を変えてストレスを分散させるように

トレーニングも同じように考えることはできないでしょうか。

 

特定の種目においてオーバーロードをかけ続けると、どこかの時点で関節への負担が大きくなるので、角度を変えて刺激を分散させること。

関節は消耗品ですし、筋肉も一度断裂してしまうと身体の使い方が少し変わってきてしまいます。

年齢を重ねたり、使用重量が重くなるにつれ、トレーニングそのものだけではなく、ケアにかける時間を長くしてあげること、ストレスの分散(強度的にも角度的にも)は是非とも取り入れていただければと思います。

lb2

代償相対的柔軟性

2月 13, 2015

”代償相対的柔軟性(compensatory relative flexibility)”は、サーマン(Sahrmann,2002)によって提唱された概念であり、特定の運動範囲に達するために身体の抵抗の最も少ない部位が動くという前提に基づいている。このポイントは柔軟性と最も関連する。

漕ぎ手がキャッチポジションで、ボートの底にいる状態を実例として示す(Mallac,2003)。

↓キャッチポジション
catchposition

このポジションは、身体からオールへの力の伝達が不可欠となる推進力を生み出す。このとき、漕ぎ手の手(とオール)は脚を超えて前へ出なければならない。

もし漕ぎ手の臀部の柔軟性が極端に低下しており、前傾(股関節屈曲=プリケツ)ができないようならば、漕ぎ手は股関節の柔軟性不足を補うため身体の他の部位を動かさなければならない。漕ぎ手は腰部や胸部で代償した屈曲をする。

背部は”相対的柔軟性”をもち、すべての運動範囲に貢献する。

しかしながら、その背部の代償とした動きは有害であり、結果として、腰部や胸部の機能障害や痛みを誘発する可能性を伴う。

『柔軟性の科学』 マイケルJ.オルター

ブロックピリオダイゼーションとは

10月 16, 2014

”スポーツのプロ化、試合スケジュールの過密化、パフォーマンスの急激な変化とそれに伴うトレーニングの高度な専門化は、伝統的な期分けの概念とコーチや競技者の成功の経験則との間に、矛盾を生んでいることも事実である。

また、そのような競技スポーツ環境の変化は、従来のものに比較して、より短期のサイクルで構成されるブロックピリオダイゼーション(block periodization)という概念を生んだ。

 

 

 

 

図 9 はそれを図式化したものであるが、 6~12 週間を 1 つのサイクルとし、その期間内において、

●基礎的な体力・スキルの養成(Accumulation phase: 2~6 週間)

●種目特性にマッチした能力の向上(Transmutation phase: 2~4 週間)

●競技形式でのトライアルまたは競技会において、そのサイクルにおける最高パフォーマンスの発揮(Realization phase: 8~15日間)

をそれぞれ目的とするトレーニングステージが形成される。

 

 

 

 

このようなピリオダイゼーションモデルは、体力面および技術面がすでにハイレベルにあり、過密な試合スケジュールの中、年間を通して高いレベルのパフォーマンスの達成を要求されるトップアスリートにとっては有効であろう。

それに対し、身体作りやスキルの向上に時間をかけなければならないレベルの選手に対しては、ブロックピリオダイゼーションよりも、従来型の年間に 1 ~ 3 のピークコンディションの形成をねらう、長めのサイクルによるピリオダイゼーションモデルが適しているように思われる。

blockperio

 

 

『新連載シリーズ「プログラムデザイン」に向けて ~アスリートの身体組成・筋機能評価とプログラムデザイン~』 金久 博昭 

https://nsca-japan.or.jp/22_member/database/backnumber/vol_19/19_1/19_1_02-10.pdfより

フラクタルピリオダイゼーション

5月 9, 2014

”フラクタルピリオダイゼーションは、トレーニングサイクル全体をみるひとつの手段である。長期的なピリオダイゼーションサイクルが、より拡大した、つまり短期的なトレーニングサイクルと自己相似形となるだろう、ということである。”

”ピリオダイゼーションは、時間の経過の中でフラクタルであるとみることができる。マクロサイクル、メゾサイクル、ミクロサイクルと分割すると似た形を示す。強度と量の反比例の関係は、時間軸を通して繰り返される。”

”量と強度の変化はすべてのレベルに共通ということになる。時系列を短くしてピリオダイゼーションサイクルを拡大しても、そのサイクルについて見えるのはわずかである。時系列は常に相似であり、変数の変動も相似である。”

レジスタンストレーニングのプロトコルにおけるピリオダイゼーションの本質と革新より

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スポーツ咬合

4月 10, 2014

スポーツには、動的なものと静的なものがあるが、どちらのスポーツにおいてもその基本姿勢は直立姿勢維持、すなわち平衡感覚・バランスにより維持されている。スポーツ先進国であるアメリカなどでは、アスリ-トの身体平衡バランスが悪い場合、そのアスリートの将来はないものとまでいわれ、アスリートにとっては非常に重要な意味を持つことになる。従って、もしアンバランスな咬合によって顎位の変位などを伴い下顎頭に機能的障害を起こすような場合、顎関節周辺部に隣接する内耳などにまでその影響がおよび、平衡バランスを低下させる事が考えられる。

言い換えれば、アンバランスな咬合を持つアスリートは、自身の平衡バランスを低下させるような事のないよう、常に生理的な咬合が保てるよう考えておかねばならないという事になる。また、アンバランスな咬合は末梢からの感覚情報を十分に脳に伝える事が出来ず、その結果末梢からの情報は少ない情報量としてしかフィードバックすることが出来ない事になり、全身の筋力発現時などにおいて、アスリート自身のパフォーマンスに影響をおよぼす可能性が考えられる。

そこで咬合の状態変化、すなわちアンバランスな咬合が直立姿勢、特に重心動揺軌跡、及び全身の筋力にどのような影響をおよぼすかを研究面より検討した結果をレビューし、臨床面からの検討も含め“咬合とスポーツパフォーマンス”との関係について触れてみたい。

咬合とスポーツパフォーマンス
東京歯科大学スポーツ歯学研究室
石上恵一

スプリンターに有酸素はいるか?

10月 24, 2013

多種多様なトレッドミルテストを通常の環境、低酸素の環境において行った結果、スプリントスピードはどうなったかという実験が行われた。

その結果、低酸素状態では有酸素容量は減少したが、最大スプリントスピードにおいては、通常の環境、低酸素の環境共に変化はなかった。

このことから、最大スプリントスピードに有酸素容量は関係ないといえる。

 

 

 

しかしながら、試合で一日に何本も走ったりする場合に備えて、持久的筋力、耐乳酸能力を増やすようなインターバルトレーニングは必要である。

ex:100mx10本(インターバル1分&75%のスピードで)など。

線形ピリオダイゼーションを作成するならプレシーズン期間に行うとよい。

 

 

 

結論:ほぼ要らない。当然だけど、パワーや瞬発を求める場合、有酸素のやりすぎはパフォーマンスを下げる。

 

 

 

Read more: http://www.livestrong.com/article/406474-does-a-sprinter-need-aerobic-capacity/

TRAINING ENERGY SYSTEMS

Duration of     Session Effort

Energy System(s)

Power/Capacity

Training Effect

 0 to 0.2 sec.

Nervous

—-

Reaction

 0 to 0.2 sec. (per leg)

 Alactic     (Stored muscle ATP)

Power

Initial Thrust

 0 to 0.1 sec (speed)

 Alactic (CP system)

Power

Single leg thrust at top

 1 to 2.0 sec

Alactic (nervous +     stored ATP + CP)

 Power

Starts

 2 to 5.0 sec

Alactic (CP system)

Power

Acceleration

 5 to 15 sec

Alactic (CP system)

Power

Maximum speed     (flying start)

 15 to 30 sec

Alactic (extended     CP system)

Capacity

Speed endurance (ability to hold 95%)

 30 to 45 sec

Lactic

Power

Ability to produce     energy w/ot O2 or CP

 45 to 90 sec

Lactic

Capacity

As above + ability to     tolerate lactic acid

 90 to 300+

Lactic with     aerobic support

Aerobic + Power +     Lactic Capacity

Abil. to use O2 to hold pace as lactic acid accumulates

 5 to 10 min

Aerobic with minor lactic

Aerobic Power

Max O2 rate

 10 to 12 min threshold

Aerobic

Power Capacity

Raise anaerobic

 20 to 60 min     steady pace

Fuel: glycogen

Capacity

Ability to maintain

 Above 1 hour

Aerobic     Fuel: glycogen + fat

Capacity

Ability to maintian steady pace for the marathon

•”Essentials of Strength Training and Conditioning, 2nd Edition”; Thomas R. Baechle and Roger W. Earle; 2000

•Sprints: Training the Energy Systems

通常のトレーニング、線形ピリオダイゼーション、非線形ピリオダイゼーションの中でどれが最も筋力が伸びたか。

10月 14, 2013

スプリットルーティンで12週間のウエイトトレーニングを行う際、通常のトレーニングnonperiodized (NP),線形ピリオダイゼーションlinear periodized (LP),非線形ピリオダイゼーションnonlinear periodized (NLP)の中でどれが最も筋力が伸びたか。

行う種目はベンチとレッグプレス。レップ数の設定はこのような感じで。

repcyclus

repcyclusbp

repcyclusbp2

結果は 非線形ピリオ(NLP)>線形ピリオ(LP)>通常のトレーニング(NP)となった。

●Nonlinear periodization maximizes strength gains in split resistance training routines.
Monteiro AG, Aoki MS, Evangelista AL, Alveno DA, Monteiro GA, Piçarro Ida C, Ugrinowitsch C.

 

 

 

 

化学的刺激(パンプ)より、物理的な刺激(高重量)の方が効果があるというのはトレーニングをある程度やりこんでいる人なら認識していることだと思うが、負荷(使用重量)が上がれば上がるほど、関節への負担、怪我の危険性も高まるし、ホルモンや受容体、神経系にかかる負担も大きくなり、回復するまでの時間はどんどん伸びていく。

 

 

かといって、『高強度&超低頻度のみ』にしてしまうと、弊害が出てきてしまうのも事実。

したがって、心肺機能の向上、毛細血管の発達、関節の保護、インスリン感受性の向上、コルチゾールレセプターの活動抑制、という目的で化学的刺激を与えて”つなぐ”というのは必要だと思われる。

 

 

勿論、化学的刺激も過剰な頻度で行うべきではないし、

・統合的にみて筋肉だけではなく身体全体の調和が崩れていないか(怪我や病気を誘発する状態を作っていないか)、
・オーバーロードはかけられているか(使用重量は伸びているか)

など考慮しながら刺激に慣れてしまわないような変化にとんだプログラムを作っていきたいところである。

筋出力の維持に関わる要因

8月 28, 2013

①運動中枢からのシグナル出力

②運動神経細胞へのシグナルの伝達

③運動神経細胞の興奮

④神経筋結合部におけるシグナル伝達

⑤筋細胞の興奮

⑥興奮収縮関連(excitation-contraction coupling(E-C coupling))

⑦収縮タンパクによる相互作用

⑧代謝的な収縮エネルギーの供給と代謝産物の除去

『分子の目で見た骨格筋の疲労』 p74 より

骨格筋肥大とシグナル伝達

8月 27, 2013

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『筋力をデザインする』 p63 より

ザチャゼウスキーによる段階的ストレッチングプログラム

7月 17, 2013

taxono4

ザチャゼウスキー博士(James E. Zachazewski)による、段階的速度によるストレッチング・プログラム(P.V.F.P=progressive velocity flexibility program)。

・Static Stretching(SS) : 静的ストレッチング
・Slow Short End Range(SSER): 低速・短端域
・Slow Full Range(SFR): 低速・全可動域
・Fast Short End Range(FSER): 高速・短端域
・Fast Full Range(FFR): 高速・全可動域

「運動選手は、活発刺激をコントロールする環境において、低速度から高速度へ移行する活動へと移っていく。

静的ストレッチングの後、低速・短端域(SSER)→低速・全可動域(SFR) →高速・短端域(FSER) →高速・全可動域(FFR)の順に行う。

動きのコントロールと可動域は選手に任せる。外部からの補助はかけないようにする。」

この段階的プログラムを用いることによって、筋肉と筋腱結合部が機能的なバリスティック動作へ段階的に適応する、これによって傷害へのリスクを軽減させることができる。

『ストレッチングマニュアル』 マイケル・J・オルター著 より