代償相対的柔軟性

2月 13, 2015

”代償相対的柔軟性(compensatory relative flexibility)”は、サーマン(Sahrmann,2002)によって提唱された概念であり、特定の運動範囲に達するために身体の抵抗の最も少ない部位が動くという前提に基づいている。このポイントは柔軟性と最も関連する。

漕ぎ手がキャッチポジションで、ボートの底にいる状態を実例として示す(Mallac,2003)。

↓キャッチポジション
catchposition

このポジションは、身体からオールへの力の伝達が不可欠となる推進力を生み出す。このとき、漕ぎ手の手(とオール)は脚を超えて前へ出なければならない。

もし漕ぎ手の臀部の柔軟性が極端に低下しており、前傾(股関節屈曲=プリケツ)ができないようならば、漕ぎ手は股関節の柔軟性不足を補うため身体の他の部位を動かさなければならない。漕ぎ手は腰部や胸部で代償した屈曲をする。

背部は”相対的柔軟性”をもち、すべての運動範囲に貢献する。

しかしながら、その背部の代償とした動きは有害であり、結果として、腰部や胸部の機能障害や痛みを誘発する可能性を伴う。

『柔軟性の科学』 マイケルJ.オルター

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腸内細菌と睡眠

11月 10, 2014

腸内細菌の多寡(たか)が睡眠量を左右する。

不眠症患者の腸内細菌数は、不眠でない人に比べて有意に少ない。睡眠時間の短い高齢者でも腸内細菌は少ない。

また抗生物質で腸内細菌を減らしてしまった人は、短眠傾向を示す。

Rhee YH,Kim HI:The correlation between sleeping- time and numerical change of intestinal normal flora in psychiatric insomnia patients.

『眠りを科学する』井上昌次郎

ブロックピリオダイゼーションとは

10月 16, 2014

”スポーツのプロ化、試合スケジュールの過密化、パフォーマンスの急激な変化とそれに伴うトレーニングの高度な専門化は、伝統的な期分けの概念とコーチや競技者の成功の経験則との間に、矛盾を生んでいることも事実である。

また、そのような競技スポーツ環境の変化は、従来のものに比較して、より短期のサイクルで構成されるブロックピリオダイゼーション(block periodization)という概念を生んだ。

 

 

 

 

図 9 はそれを図式化したものであるが、 6~12 週間を 1 つのサイクルとし、その期間内において、

●基礎的な体力・スキルの養成(Accumulation phase: 2~6 週間)

●種目特性にマッチした能力の向上(Transmutation phase: 2~4 週間)

●競技形式でのトライアルまたは競技会において、そのサイクルにおける最高パフォーマンスの発揮(Realization phase: 8~15日間)

をそれぞれ目的とするトレーニングステージが形成される。

 

 

 

 

このようなピリオダイゼーションモデルは、体力面および技術面がすでにハイレベルにあり、過密な試合スケジュールの中、年間を通して高いレベルのパフォーマンスの達成を要求されるトップアスリートにとっては有効であろう。

それに対し、身体作りやスキルの向上に時間をかけなければならないレベルの選手に対しては、ブロックピリオダイゼーションよりも、従来型の年間に 1 ~ 3 のピークコンディションの形成をねらう、長めのサイクルによるピリオダイゼーションモデルが適しているように思われる。

blockperio

 

 

『新連載シリーズ「プログラムデザイン」に向けて ~アスリートの身体組成・筋機能評価とプログラムデザイン~』 金久 博昭 

https://nsca-japan.or.jp/22_member/database/backnumber/vol_19/19_1/19_1_02-10.pdfより

瞬発力系に関わる遺伝子

9月 9, 2014

・ACTN3(αアクチン3)遺伝子=筋力(スプリント能力)

・IL15(インターロイキン15)遺伝子=筋力(最大挙上重量)

・CNTF(毛様体神経栄養因子)遺伝子=筋力(ピークトルク)

・FST(ホリスタチン)遺伝子=筋量(除脂肪体重)=ミオスタチンを抑制

・IGF2(インスリン様成長因子)遺伝子=筋量(除脂肪体重)

・IL15RA(インターロイキン15受容体αサブユニット)遺伝子=筋量

 

・IL15RA(インターロイキン15受容体αサブユニット)遺伝子=筋量

・TNF(腫瘍壊死因子)遺伝子=筋量(腕)

・NR3C1(糖質コルチコイド受容体(グループC:3-ケトステロイド受容体群 ))遺伝子=ジャンプ力

・CNTFR(毛様体神経栄養因子受容体)遺伝子=筋量(除脂肪体重)

・PPARA(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α)遺伝子=筋力

・ACE(アンギオテンシン転換酵素)遺伝子=瞬発的運動能力

『金メダル遺伝子を探せ』より

フラクタルピリオダイゼーション

5月 9, 2014

”フラクタルピリオダイゼーションは、トレーニングサイクル全体をみるひとつの手段である。長期的なピリオダイゼーションサイクルが、より拡大した、つまり短期的なトレーニングサイクルと自己相似形となるだろう、ということである。”

”ピリオダイゼーションは、時間の経過の中でフラクタルであるとみることができる。マクロサイクル、メゾサイクル、ミクロサイクルと分割すると似た形を示す。強度と量の反比例の関係は、時間軸を通して繰り返される。”

”量と強度の変化はすべてのレベルに共通ということになる。時系列を短くしてピリオダイゼーションサイクルを拡大しても、そのサイクルについて見えるのはわずかである。時系列は常に相似であり、変数の変動も相似である。”

レジスタンストレーニングのプロトコルにおけるピリオダイゼーションの本質と革新より

fp1

fp2

fp3

fp4

人口甘味料とインクレチン

5月 8, 2014

人工甘味料が作用すると分かっているホルモンはほかにもあります。インクレチンといわれるホルモンのうち「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」は、食事をして血糖が上がったとき、血糖を抑えようとしてインスリンの分泌を促進するホルモンです。

GLP-1は1986年に見つかったばかりで、まだ完全に解明されていません。ただ2009年のアメリカ国立衛生研究所の調査により、ダイエット・ソーダがGLP-1の分泌を促すことがわかりました。

GLP-1はインスリンの分泌を促進しますから、長期にわたる大量の人工甘味料の摂取で、これもインスリンが多く分泌されるきっかけとなります。インスリンが過剰に分泌し続けると、その分泌能力が疲弊し、衰えれば高血糖になり、やがて糖尿病へと進行してしまいます。

『カロリーゼロにだまされるな: 本当は怖い人工甘味料の裏側』より 大西睦子

 

 

 

 

●GLP-1とGIPとはいずれも血糖値依存的に膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進する[1]。しかし、2型糖尿病においてはGIPによるインスリン分泌促進作用は障害されているとの報告がある。[2]。また、GLP-1は膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制し、血糖低下に働くが、本作用がGLP-1によるα細胞への直接的な作用なのかどうかは議論が分かれている。さらに、GLP-1は胃の内容物排出速度を遅らせ、満腹感を助長することで食欲を抑制したり、食後の急峻な血糖上昇を抑制したりする作用がある。

一方GIPは脂肪細胞にそのGIP受容体が存在し、脂肪細胞への糖の取り込みを促進することで肥満を助長させる。

 

 

GLP-1:

グルカゴン様ペプチド-1 (glucagon-like peptide-1, GLP-1) は小腸下部のL細胞から分泌される[1]。グルカゴンと同じ遺伝子 proglucagon の配列から作られるペプチドであり、GLP-1(7-36)amide がおもに検出され、GLP-1(7-37) のものも認められる。血中半減期は12分。

ブドウ糖濃度依存性インスリン分泌促進
ランゲルハンス島β細胞増殖作用
グルカゴン分泌抑制
胃排泄能抑制
中枢性食欲抑制作用

以上の作用がある。点鼻投与や注射薬の開発が進められている。副作用としてグルカゴン同様に腸管運動が抑制されるので、嘔気嘔吐が挙げられる。肥満は現在世界的な問題のひとつであるが、リラグルチドは肥満の治療薬として有望視されている。[3] GLP-1アゴニストとしては他に週一回投与型のタスポグルタイド(taspoglutide)が現在治験段階にある。

 

 

GIP:

グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(glucose-dependent insulinotropic polypeptide, GIP) は脂肪が刺激になって十二指腸のK細胞から分泌される。スルホニルウレア薬とGIPを同時に投与すると、インスリン濃度が増加する一方で、Cペプチドが増加しないので、肝臓などでのインスリンクリアランスに作用してインスリン濃度を保つのではないかと指摘されている。脂肪細胞の表面に発現しているGIP受容体を欠損させたマウスでは高脂肪食時にも内臓脂肪の増加がみられなかった。GIPは脂肪代謝の酵素であるLPL活性を高めるとともにインスリン存在下での脂肪細胞によるブドウ糖の取り込みを促進する。このような同化促進作用がGIP受容体欠損マウスではみられず、肥満が抑制されていると考えられる。

2型糖尿病患者にGIPを投与してもGLP-1と異なり、インスリン分泌促進効果が僅かである。マウスの解析では耐糖能異常があると、スプライシングを受け短縮したGIP受容体が生じ、作用のない短縮GIP受容体に結合した分GIPの効果が減弱するのではないかと言われている。

wikipediaのインクレチンより

スポーツ選手の口腔健康度と咬合力について

4月 11, 2014

目的:近年,顎口腔系と全身の運動機能に関して様々な方面からの研究がなされてきている.今回,運動経験の豊富なスポーツ選手の口腔健康度と顎口腔系の筋力の関係を知る目的で,口腔健康度と咬合力の診査計測を行った.

対象:本学スポーツ健康科学部のスポーツ選手20名,対照としてスポーツ部に属さない医学部学生8名に対して診査計測を行った.方法:口腔内状況を診査し,口腔健康度を表す指標の一つであるDMF歯数(未処置歯,喪失歯,処置歯の合計)を算出し,非運動時の最大咬合力を測定した.スポーツ選手群と対照群で口腔健康度(DMF歯数)と咬合力に有意差が認められるか否か,また各群の口腔健康度(DMF歯数)と咬合力との相関について解析した.

結果:1.対照群とスポーツ選平群のDMF歯数の平均は7.3と8.2,咬合力の平均はそれぞれ728.8Nと789.8Nであった.2.DMF歯数と咬合力は共に,スポーツ選手群と対照群との間に有意差は認められなかった.3.DMF歯数と咬合力との間には,対照群では有意な負の相関が認められたが,スポーツ選手群では認められなかった.

結論:DMF歯数が高い(口腔健康度が低下する)ほど顎口腔系の筋力が低下する傾向が認められた.一方,スポーツ選手群ではDMF歯数と咬合力との間に有意な相関は認められなかった.このことから,スポーツ選手は全身の運動を行うことによって,顎口腔系の筋力の低下を防いでいることが示唆された.

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004616739

スポーツ咬合

4月 10, 2014

スポーツには、動的なものと静的なものがあるが、どちらのスポーツにおいてもその基本姿勢は直立姿勢維持、すなわち平衡感覚・バランスにより維持されている。スポーツ先進国であるアメリカなどでは、アスリ-トの身体平衡バランスが悪い場合、そのアスリートの将来はないものとまでいわれ、アスリートにとっては非常に重要な意味を持つことになる。従って、もしアンバランスな咬合によって顎位の変位などを伴い下顎頭に機能的障害を起こすような場合、顎関節周辺部に隣接する内耳などにまでその影響がおよび、平衡バランスを低下させる事が考えられる。

言い換えれば、アンバランスな咬合を持つアスリートは、自身の平衡バランスを低下させるような事のないよう、常に生理的な咬合が保てるよう考えておかねばならないという事になる。また、アンバランスな咬合は末梢からの感覚情報を十分に脳に伝える事が出来ず、その結果末梢からの情報は少ない情報量としてしかフィードバックすることが出来ない事になり、全身の筋力発現時などにおいて、アスリート自身のパフォーマンスに影響をおよぼす可能性が考えられる。

そこで咬合の状態変化、すなわちアンバランスな咬合が直立姿勢、特に重心動揺軌跡、及び全身の筋力にどのような影響をおよぼすかを研究面より検討した結果をレビューし、臨床面からの検討も含め“咬合とスポーツパフォーマンス”との関係について触れてみたい。

咬合とスポーツパフォーマンス
東京歯科大学スポーツ歯学研究室
石上恵一

スプリンターに有酸素はいるか?

10月 24, 2013

多種多様なトレッドミルテストを通常の環境、低酸素の環境において行った結果、スプリントスピードはどうなったかという実験が行われた。

その結果、低酸素状態では有酸素容量は減少したが、最大スプリントスピードにおいては、通常の環境、低酸素の環境共に変化はなかった。

このことから、最大スプリントスピードに有酸素容量は関係ないといえる。

 

 

 

しかしながら、試合で一日に何本も走ったりする場合に備えて、持久的筋力、耐乳酸能力を増やすようなインターバルトレーニングは必要である。

ex:100mx10本(インターバル1分&75%のスピードで)など。

線形ピリオダイゼーションを作成するならプレシーズン期間に行うとよい。

 

 

 

結論:ほぼ要らない。当然だけど、パワーや瞬発を求める場合、有酸素のやりすぎはパフォーマンスを下げる。

 

 

 

Read more: http://www.livestrong.com/article/406474-does-a-sprinter-need-aerobic-capacity/

TRAINING ENERGY SYSTEMS

Duration of     Session Effort

Energy System(s)

Power/Capacity

Training Effect

 0 to 0.2 sec.

Nervous

—-

Reaction

 0 to 0.2 sec. (per leg)

 Alactic     (Stored muscle ATP)

Power

Initial Thrust

 0 to 0.1 sec (speed)

 Alactic (CP system)

Power

Single leg thrust at top

 1 to 2.0 sec

Alactic (nervous +     stored ATP + CP)

 Power

Starts

 2 to 5.0 sec

Alactic (CP system)

Power

Acceleration

 5 to 15 sec

Alactic (CP system)

Power

Maximum speed     (flying start)

 15 to 30 sec

Alactic (extended     CP system)

Capacity

Speed endurance (ability to hold 95%)

 30 to 45 sec

Lactic

Power

Ability to produce     energy w/ot O2 or CP

 45 to 90 sec

Lactic

Capacity

As above + ability to     tolerate lactic acid

 90 to 300+

Lactic with     aerobic support

Aerobic + Power +     Lactic Capacity

Abil. to use O2 to hold pace as lactic acid accumulates

 5 to 10 min

Aerobic with minor lactic

Aerobic Power

Max O2 rate

 10 to 12 min threshold

Aerobic

Power Capacity

Raise anaerobic

 20 to 60 min     steady pace

Fuel: glycogen

Capacity

Ability to maintain

 Above 1 hour

Aerobic     Fuel: glycogen + fat

Capacity

Ability to maintian steady pace for the marathon

•”Essentials of Strength Training and Conditioning, 2nd Edition”; Thomas R. Baechle and Roger W. Earle; 2000

•Sprints: Training the Energy Systems

通常のトレーニング、線形ピリオダイゼーション、非線形ピリオダイゼーションの中でどれが最も筋力が伸びたか。

10月 14, 2013

スプリットルーティンで12週間のウエイトトレーニングを行う際、通常のトレーニングnonperiodized (NP),線形ピリオダイゼーションlinear periodized (LP),非線形ピリオダイゼーションnonlinear periodized (NLP)の中でどれが最も筋力が伸びたか。

行う種目はベンチとレッグプレス。レップ数の設定はこのような感じで。

repcyclus

repcyclusbp

repcyclusbp2

結果は 非線形ピリオ(NLP)>線形ピリオ(LP)>通常のトレーニング(NP)となった。

●Nonlinear periodization maximizes strength gains in split resistance training routines.
Monteiro AG, Aoki MS, Evangelista AL, Alveno DA, Monteiro GA, Piçarro Ida C, Ugrinowitsch C.

 

 

 

 

化学的刺激(パンプ)より、物理的な刺激(高重量)の方が効果があるというのはトレーニングをある程度やりこんでいる人なら認識していることだと思うが、負荷(使用重量)が上がれば上がるほど、関節への負担、怪我の危険性も高まるし、ホルモンや受容体、神経系にかかる負担も大きくなり、回復するまでの時間はどんどん伸びていく。

 

 

かといって、『高強度&超低頻度のみ』にしてしまうと、弊害が出てきてしまうのも事実。

したがって、心肺機能の向上、毛細血管の発達、関節の保護、インスリン感受性の向上、コルチゾールレセプターの活動抑制、という目的で化学的刺激を与えて”つなぐ”というのは必要だと思われる。

 

 

勿論、化学的刺激も過剰な頻度で行うべきではないし、

・統合的にみて筋肉だけではなく身体全体の調和が崩れていないか(怪我や病気を誘発する状態を作っていないか)、
・オーバーロードはかけられているか(使用重量は伸びているか)

など考慮しながら刺激に慣れてしまわないような変化にとんだプログラムを作っていきたいところである。